真夏のピークが去った。文フリ大阪の振返り。

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去る9/14(日)、インテックス大阪で開催された「文学フリマ大阪13」に参加してきた。

文学フリマとは

いわゆる本の展示即売会で、個人や団体が制作した文学作品を各々がブースを出店し、販売するイベント。

作家のすずひらさんが中心になり、6名のチームで作りあげた合同本『労働文集 考働こうどう』を引っ提げて、すずひらさん名義のブースで出店した。

僕は今回が初だったのだけど、率直に言ってめちゃくちゃ楽しかったし、いい経験になった。この日のことを、忘れぬうちに振り返っておこうと思う。

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当日、あまりにもソワソワしすぎて朝4時に目が覚めてしまった。さすがにこのまま起きていると昼過ぎに強烈な眠気に襲われてしまいそうだったので、二度寝を試みる。

しかし、気持ちがたかぶって眠れない。結局ベッドでゴロゴロしているうちに6時になってしまった。こういう時って、焦れば焦るほど目が冴えてしまう。努めて意識を文学フリマから逸らすこと数分、いつの間にか気を失って1時間半ほど二度寝できた。

8時前に起き上がり、少し熱めのシャワーを浴びる。これで一気に身体が覚醒。朝ごはんをしっかり目に摂り、事前に準備しておいた荷物を持って家を出発。会場でブース設営に使う資材などを詰め込んだ結果、かなり大きめのスーツケースになってしまった。コスモスクエア駅ですずひらさんとあまねこさんと合流し、会場のインテックス大阪まで3人で歩いて向かった。

あまねこさんとは5月の無職サミット以来、約4ヶ月ぶりの再会となった。僕よりも8つくらい歳が下なのだけど、はるかに落ち着いているし、冷静に人生や将来のことを見据えて戦略的に生きているように見える。超しっかり者だ。

リボ払いに追われて奴隷の如く労働していた8年前の自分を思い返してみると、情けなくて泣きたくなる。まぁそれはいいか。

会場入り〜ブース設営

予定通り、出店者入場開始の10:30くらいには会場に到着することができた。9月とはいえ、まだまだ日差しが強く、駅から十数分ほど歩いただけで汗だくになっていた。日本ってこんなに暑かったっけ?

会場のインテックス大阪

同じインテックス大阪で開催されていた「コヤブソニック」の待機列を横目に、文学フリマ会場である2号館へ。

中はエアコンでよく冷えていて、入口を抜けると一気に火照った身体を冷気が包みこんでくれた。メンバーから「涼し〜!」と歓喜の声が上がった。

余裕を持って設営完了

自分たちのブースへ移動し、設営を開始。まずは愛想のない会議用テーブルに布を敷く。あまねこさんにミニ本棚の組み立てをお願いしている間に、僕は売り場の装飾を進めていった。事前に設計図を引き、シミュレーションを重ねていたので、やることは全て頭に入っている。

ブースの設計図

宅配搬入物のチェックを終えたすずひらさんに、ブース前面にポスターを貼る作業をお願いした。良い感じ。自宅にて、一人で悶々と試行錯誤するターンも好きだが、この「みんなで現場で作り上げていく感じ」もクリエイティブの現場らしくて好きだ。グルーブ感がある。

すずひらさんとあまねこさんの理解力と手際の良さが素晴らしく、僕が逐一指示を出さなくてもどんどんブースが組み上がっていく。自発的に活動している人たちというのは、やはり基礎能力が高いと感じた。おかげさまで、余裕をもって設営が完了。

完成したブース

開場までの間に、メンバーの一人である小林エマさんが到着したとのことで、すずひらさんが迎えに行ってくれた。これで今日のメンバーは全員集合!一気に心強さが増した。あとは楽しむのみ!

販売

12:00。いよいよ一般来場者の入場時間となった。はじめはまばらだったものの、30分くらい経過した時点で会場は多くの人で埋め尽くされるほどになっていた。

とはいえ、いきなりは売れない。会場が広いこともあり、お客さんもまずはグルッと一回りして品定めをしているような状況だった。たぶん、足早に会場を回るだけでも30〜40分はかかる。いちいち各ブースを気にして足を止めていたら、あっという間に1時間は過ぎてしまうだろう。だから多分、1時間くらいは売れない。これはなんとなく想像がついていた。

結果的にそれも杞憂でしかなく、開場から2〜3時間もすれば会場もノってきて、多くの方が足を止めて試し読みをしてくれたり、お話ししてくださったり、実際に本を購入してくださった。

また、僕のような人間をSNS経由で知り、訪ねてくださった方もいらっしゃって、それはシンプルにめちゃくちゃ嬉しかった。ありがとうございます。

魂のビラまき

どういうきっかけで行き交うお客さんとコミュニケーションを取れば良いか分からなくなりそうだったので、事前にB5サイズのビラも用意しておいた。

これを手渡しつつ、試し読みを促すことで気に留めてもらえたらいいなぁと思っていた。無視されるのが当然という状況の中で、ビラを撒きながら大きな声で声をかける。労働としてやっていたら確実に心が折れる作業だし、僕はそういうのが超絶苦手だ。しかし、この日は全然苦にならなかった。むしろ、メンバー全員が魂を込めて作ったすばらしい作品を一人でも多くの人に届けたいという気持ちの方が勝っていて、積極的に声掛けを行った。

他のメンバーもみんな、すごく生き生きと取り組んでいた。楽しそうだったなぁ。めちゃくちゃ美しい光景だったよ、あれは。これぞ「働く」であると感じた。顔も知らない誰かが作ったどうでもいい商品や、事情まみれの負け戦をこなすために僕らは命を削っているわけではない。それを痛感した。

全力で届けたい!という気概で取り組んだ甲斐もあってか、多くの人に気に留めていただけたように感じている。買う/買わないはもはやどうでも良くて(オイw)、ブースの前で立ち止まってくださるみなさんとお話しできるのがまずめちゃくちゃ楽しかった。ご自身のお話をしながら、笑顔を見せてくれることがとにかく嬉しくて、こっちまですっかり楽しませていただいたように思う。本当に感謝しかない。

以前、知人からの依頼で参加したビール販売の経験も活かせたように感じる。自らの意思が存在していれば、無駄な経験など一つもないのだ。そういう意味で、労働においては意思を排除することを求められる(これは20年弱の経験による僕の実感だが)ので、つまり無駄である。

打ち上げ

17:00になり、文学フリマ大阪13が終了。あまりにも楽しすぎて、体感的にはあっという間だった。4人のメンバーで撤収作業を行い、片付けもあっという間に完了。マンパワー!

そのまま心斎橋へ移動し、お待ちかねの打ち上げへ。楽しいメンバーと、楽しいお酒が飲める!これは人生における幸せの一つだ。ビールが最高に美味しかった。

僕は基本的に飲み会などの席では人をイジってフザけるくらいしかしないのだけど、当日の余韻のせいか、こういった活動の場を今後どのように展開していくかというエモい話もした。仲間っていいな。最高だと思う。

すごく、いい夏だった

文学フリマ大阪13。間違いなく、今夏最大の思い出である。真夏のピークが去ってしまった侘しさを覚えつつも、やりきった清々しさも感じている。この「祭りのあと」感がまた堪らない。すごく良い疲労感で満たされ、ぐっすりと眠ることができる。

もう僕は、こんな日々を繰り返すことでしか「生きていること」を感じられないような気すらしている。人生が真っ暗だった会社員労働時代との圧倒的な差を感じている。本当はみんなそれを知っているのに、社会で魂をすり減らすうちに忘れてしまっているんじゃないだろうか。早くみんなこっちに来れば良いのに。それは違うかなぁ、分かんないや。分かんないけど、僕はもうできる限りこっちに居たいと思ってる。楽しくて仕方ない。

会社員を辞めて、もがきながらも全力で過ごす日々の中で、僕はそのプリミティブな感覚を思い出しつつある。そうしていると、生きている実感がある。そんな、すごくいい夏だった。最高の思い出になりました、ありがとう文学フリマ。

そして、一緒に過ごしてくれた仲間たちにもありがとう。

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